平成26年度の宅建試験が終わって約１ヶ月が過ぎようとしています。合格発表まで約２週間ですね。

落ち着かない気持ちの人もいらっしゃるでしょうし、この時期に書くべき記事かどうかは迷いましたが、思い切って書いておこうと思います。

惜しくもボーダーに達しなかった方を想定しています。

真剣に受験をし合格を期したが、どうもダメだったらしい、よしそれならば来年こそ！と気持ちを切り替えていらっしゃる方も中にはおられると思ったからです。

（但し、当たり前ですが、発表があるまで合否は確定しません。ギリギリの人も今はニュートラルな気持ちで過ごすのが一番です。）

１.　全然届かないのか、数点足りないのか。

まず、ボーダー（予想）に７点以上足りなかった、という方。

それは恐らく完全な勉強不足だと思われます。

全く覚えている分量が足りないのです。

しかし、考えようによっては、あまり深刻ではありません。

なぜなら、伸びしろがたくさん残されているからです。

やればいいだけです。

ただし、そこそこ勉強して本試験問題を解いてみると、何度やっても数点足りないという事態になっていることもあります。その場合は、次の数点足りない場合の方も見て頂きたいと思います。

次に、ボーダー（予想）に１点から６点程度足りなかったという方。

これは、一律には語れません。

実際には各人精査しなければなりませんが、多少大胆に分類します。

（※ 〇点以上 と書いた部分は参考目安です）

２.　あと数点の中身が問題だ。

（１） 深刻なのは、いつも数点足りないというパターン。

まず、受験したのが今年初めて、あるいは本気で受験したのが今年初めて、という方で、勉強をやり切ったという実感が持てない方。

例えば、ある分野の勉強は納得できる勉強ができたが、ある分野はさらりとしか勉強できなかった方。

これは、当たり前ですが、ただ単に間に合わなかっただけです。

次は、しっかりとスケジュールを立て、必ず自分に課したノルマを達成できる勉強をすれば大丈夫でしょう。

一方で、何年も受験していていつも数点足りない方、あるいは、受験回数は初回のようなものだけど、自分なりの勉強はやり切って試験に臨んだ方。

この方は、少し真剣に対策を見直さなければならない、と思います。

実際のボーダーとの差は数点ですが、その数点はもしかしたらとても大きいものなのかも知れないからです。

例えば、直前期に模擬試験を受験し、点数が２０点であった人が、本番では３０点取れるということは良くあります。

場合により本試験で見事ボーダー越えで合格、という方もいます。

模擬試験で２０点というのは明らかに勉強不足であり、勉強したらした分だけ点数が伸びるからです。

しかし、直前の模擬試験ではボーダー周辺、時々ボーダー越えなのに、本番では数点足りない、という方は、今まで通りのスタンスで勉強を続けても、残りの数点はいつまでも得点できないかも知れません。

この数点、いったいなんなのでしょう。

（２） 大切なのは「量」ではなく「質」。限定された範囲だけは厳密に覚えるという「意思」。

こういうパターンに陥っている人に多いのは、全体にわたってだいたい覚えているが、暗記が厳密でなく、正答を選べるかどうかの分水嶺になるポイントが曖昧である、という場合です。

特に模試の成績にムラがある方には、手を拡げて色々な知識を仕入れており、その中で得意なところが多く出題されたら良い点になるが、あまり得意でないところに出題が偏ると途端に点数が伸びないという場合が多いです。

これ、勉強量が足りないのでしょうか。

使っているテキストや問題集が悪いのでしょうか。

テキストを刷新し、勉強量を増やせば、あと数点は伸びるのでしょうか。

 本当にそうなのか、を真剣に考えてみる必要があります。

点数を伸ばしたいから、テキストも分厚いものにし、問題も過去問だけでなく予想問題もやった、予備校で出題予想ポイントも受講した、などという方。

本当にいわば「守備範囲」を拡げることが得策なのでしょうか。

不安だと「量」を増やすことに目が行きがちです。

「量」を増やせば、その分今までより「努力している」実感はあるので、多少安心感につながることでしょう。

しかし、それで結果は出るのでしょうか。

私としては、まず、「もしかしたら基本的なところの詰めが甘いのではないか」ということを考えてほしいのです。

限られた教材を徹底的に詰める。

何かと何かを混同したり、そもそも知識が不正確にインプットされていたり、そういうことがないのか。

例えて言うと、１０００ページのテキストでアップアップして曖昧になるより、５００ページのテキストを完璧にすべきではないのか。

これは宅建試験に限ったことではないのです。

どんな試験でも、いわゆるベテラン受験生が陥りがちな罠なのです。

足りないのは量ではない。

足りないのは勉強範囲ではない。

足りないのは質。

足りないのは知識の正確性。

足りないのは厳密に覚えることへの意思。

こういう可能性はありえます。

これは「もっと頑張る」という精神論だけでは解決できません。

３． 「どこ」を間違ったのかではなく、「どう」間違ったのかを確認する。

合格発表があった後で構いません。

予備校から本試験問題の解説が出そろってからで構いません。

必ず、本試験問題で間違った箇所について、「どう」間違ったのかを確認してみてください。

その際、間違った理由を言葉に書き出せるぐらいの気持ちで（実際に書いても良いです）チェックしてください。

「ああ、落ち着いていればわかったはず」

「ああ、だいたいわかっていたのに」

「２つまで絞れていたからもう一歩」

と思う問題、「落ち着いていれば」「だいたいわかっていた」「もう一歩」という感想では不十分です。

なぜ２つのうち正解を選べなかったのか。

「この知識が足りなかったから」

「この知識が曖昧だったから」

ということをはっきりとさせてください。

「テキストのこの該当部分をしっかり押さえていればわかったはず」という箇所を特定してください。

「この知識」というのがテキストに載っていれば、それは知識の正確な定着が不十分だからです。

「この知識」というのがテキストに載っていなければ、その問題は気にしなくてもいいです。

受験者の正答率が高いのに「この知識」が使っていたテキストに載っていないなら、そのテキストは捨ててください。メジャーなテキストであれば、そういうことはほぼないと思いますが。

この「どう」間違ったかを確認する作業は、勉強する際に欠けている姿勢は何か、に関して気づきを与えてくれるでしょう。

４．　限られた範囲の知識を徹底して「正確」に。

（１）　知識の「正確さ」は、些細に見えても大きな差である。

私が言いたいのは、多くの場合、知識の「正確さ」が足りない、ということです。

他の人もあなたも、同じテキストで出題該当箇所を勉強している。

しかしあなたの知識はいまひとつ曖昧であった。

他の人は、ほんの少しきちっと厳密な知識を頭に入れていた。

だから、他の人は楽に、あるいは苦労しながらも、結局正解にたどり着けた。

でも、あなたは厳密な知識が足りないせいで、誤った方を選んだ。

これは些細な差のように思えます。

確かにあと一歩なのです。

しかし、この些細に見える差に気づかないと、いつまでもこの差は埋まりません。

些細な差が大きな差になってしまうのです。

あえて断言しますが、多くの曖昧な知識よりも少しの厳密な知識の方が良いのです。

みんなが難しいと思った問題を、あなただけは簡単に解けた。

そのことに大した意味はありません。

みんながやさしいと思った問題を、あなただけは間違えた。

みんなが苦労はしたが結局正答した問題、それをあなただけは間違えた。

このことは大きな問題です。

（２）　やるべきことは、テキストの範囲の知識だけを厳密にしていくこと。

もちろん、知識が少なすぎてもいけません。

では、厳密にすべき知識の限界を示しているものは何かというと、それはテキストです。

多くの合格者が「これを使って勉強して合格した」と言っているテキストが目安です。

そのテキストの範囲だけやればよいのです。

宅建試験には微妙な傾向の変動はあります。

宅建士への変更で難易度の変更を予想する向きもあります。

しかし、そんなことは関係ありません。

このマンモス受験の受験者、いや、合格者の傾向には急速な変動はありません。

合格者はみな同じことをクリアしているのです。

わからない問題はあるのです。

でも、誰でも解ける問題を落とさなければ合格できるのです。

何度も書いていますが、受験者の５０％以上が正解している問題をすべてとれば合格できるのです。

半分以上の人が正解する問題を、です。

半分以上の人は何を使って勉強しているのでしょう。

せいぜい３冊の基本テキストと３冊の過去問題集です。

中には、基本テキストだけで合格する人もいます。

予備校に通学している人や、直前の特訓講座などを受講する人もいるでしょうが、それは一部です。

基本テキストと過去問題集、それ以上は要らないのです。

統計数値なんて直前期に一通り見れば終わりです。

本当にありきたりのテキストをやればいいのです。

ただし、厳密に。

正確な知識となるように。

（３）　「正確さ」のために過去問題集を使う。

正確な知識とは、過去問題で、「正しい」か「誤り」かを、また「適切」か「不適切」かを、分けるポイントとなっている知識です。

テキストでインプットし、過去問題を解いて解説を読んで、その「分かれ目」のポイントをテキストに補充して書き込む。

そのことで知識が正確になっていきます。

試験向けに。

テキストに書いてある知識が、実戦的な、「選択肢を切れる知識」に変わっていきます。

そして、補充したポイントが書き込まれたテキストを、何度も何度も反復してインプットしていくのです。

厳密・正確、と言えるところまでやるのです。

５． 「やり切る」というのは「量」「範囲」ではなく、「質」である。

繰り返しますが、勉強する範囲の広さなんて拡げる意味はありません。

傾向が変わりつつあるから、これも対応しなければ、あれも対応しなければ、と予備校等の言葉に惑わされてはいけません。

多少の傾向変化があろうと、各予備校・出版社が、テキストの編集方針を変えなければ商品にできない、と思うような変化は今のところまったくありません。

もし、そういう変化があるなら、その変化に対応したテキストを売らなければ予備校・出版社は信頼を落としてしまいます。

勉強法の見直し、というのは、テキストを変えるとか予備校に行くことにするとか、予備校を変えるとか、そういうことばかりではありません。

今までやってきた勉強は、その目標とするところを達成していたのか、あるいはその目標としているところは本当に合格に必要なことだったのか、合格に達する内容だったのか、ということです。

思い切って言えば、多くの場合、やりきれていないのです。

やりきれていない、というのは勉強の量や勉強する範囲ではありません。

勉強の「質」なのです。

何度繰り返しても、必要な部分を正確に覚えなければ、合格点には足りません。

「限られた範囲」で良いのです。

「限られた範囲」だけは、「厳密に」「正確に」知識を定着させる。

これをやれば、「あと数点」の世界から脱却できるはずです。

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